バネ足ジャックと解放の矢:1st SHOT
こんばんわ、れらです(’▽’)ノ
さて、本日のOblivion。
ヒヨさんは、カイルとシィナと共に、ブルマの盗賊ギルド本部に来ていた。
そして・・・

盗賊ギルドの首領、グレイ・フォックスに向かって、何故だか満面の笑みを浮かべていた。

ついてるというか・・・シロディール一の大盗賊の顔は、邪神が創った呪いのマスクによって大部分が覆われており、そのマスクこそが笑って下さいと言わんばかりのデザインだったりするわけなのだけれど。
一応と自覚はあるのか、グレイ・フォックスは心なしか顔を伏せ、メタボリックなお腹に力を入れて引っ込めたりしながら、ヒヨさんが浮かべる謎の笑みの理由を怪訝そうに訊ねた。
すると・・・

いつものこととはいえ、突拍子もない答えが返ってくるものだから、グレイ・フォックスのみならず、同行してきたカイルとシィナも目を丸めたまま固まってしまった。
しかし、とんちんかん発言をしたヒヨさんの方はといえば、絶句している彼らの様子など気にも留めず・・・というか視界にも入っていないご様子で、
ヒヨ「私、結婚するならグレイさんみたいに優しい人がいいな
」
・・・と更なる爆弾発言で、その場の空気を極寒に変える。

雪山で意識を失いかけた遭難者よろしく、激しく声をかけられたヒヨさんは、ぱちくりと目を瞬かせて不思議そうに首を傾げた。

呪いのマスクに悩まされているグレイ・フォックスと同様に、邪神が創った遺物の所持者になってしまっているヒヨさんは、遺物を介して直接頭の中に侵入してくる邪神の声を、自身の考えと誤認してしまう。
例えば邪神に誰かを「殺せ」と囁かれたなら、まるで自分が「殺そう」と思いついたかのように感じてしまうのだ。
そうやって夜の女王を名乗る邪神ノクターナルは、遺物所持者であるヒヨさんやグレイ・フォックスを駒にして、望む物を盗ませようとしているのだ!・・・という話は、前回の仕事の後に、とくと聞かされたヒヨさんなのだけれど、
ヒヨ「今のは違うよ!絶対私の考えだもん!
」
こればっかりは間違いようもない!と自信満々に胸を張る。
というのも前回、呪いのマスクによって本来の姿を抹消されてしまったグレイ・フォックスの正体を、ひょんなことから突き止めたからだ。
義賊組織の頂点に立つグレイ・フォックスは、実は行方知れずになっているアンヴィル領主アンブラノクス伯爵で、マスクの呪いによって自分の存在を認識出来なくなってしまった妻を怖がらせないよう、自ら黙って彼女の元を離れたのである。
恋に恋するヒヨさんにとっては、それだけでもう胸が痛くなってしまうエピソードなのだけれど、伯爵夫人は妻を捨てたと揶揄されている夫を辛抱強く待ち続け、グレイ・フォックスは離れてもなお、妻を守るべくあらゆる手を尽くしながら呪いを解くのに懸命だ。
つまるところ、ヒヨさんから見た伯爵夫人は、王子様の帰りを待つお姫様。
でもってグレイ・フォックスは、二人の仲を引き裂いた邪神の呪いを解いて、愛する者の下へ戻ろうと、必死に奮闘中の王子様なのだ。
そんな二人の事情を知ってしまった自分の役割と言えば勿論・・・

二人の恋物語をハッピーエンドに誘うキューピッドに他ならない。
グレイ・フォックスが背負わされた呪いがもたらすロマンス部分にすっかりハマってしまったヒヨさんは、好物のスルメでベタベタになっているオッサンの手をきつく握り締め、本日も張り切って盗人の仕事を請負うことを約束した。

何だかよく分からないけれど・・・とりあえず今の家主の言動は、彼女のキテレツな思考回路によるものだろうと理解したカイルとシィナは、仕事頭に切り替えることにした。
のほほんとしているヒヨさんだけれど、彼女の呪いの主は、邪神と呼ばれるディードラの君主・・・とっとと呪いを解くのが賢明だ。

本来ならやりたくもない盗賊ギルドの仕事を、バックアップすることにしたシィナが、早速用件を切り出した。
前回仕事を請ける際、グレイ・フォックスは、ノクターナルが狙っているブツが帝都にあると明言している。
帝都と言えばシロディールの首都であり、最も警備の目が行き届いている場所になるわけだけれど、警備隊長を務めていた鬼のレックスは、アンヴィルの衛兵隊長の任に就かせることで、既に帝都から追い払っているから、帝国兵の気は緩んでいる。
当然、レックスの後任は来るだろうが、選出までには時間がかかるであろうから、今こそが攻め時だ。
理由は違えどヒヨさん同様、今日こそチェックメイトをかけてやる、とカイルとシィナもやる気満々であった。
しかし・・・

最後の駒を進めるにはまだ早い、とグレイ・フォックスは苦笑する。
今日こそエルダー・スクロールとやらを手に入れて、鬱陶しいノクターナルと遺物の絆を断ち切り、ついでに・・・家主にしてやった約束を叶えてやらなくもない。
と思っていたカイルは、思わず地団太を踏んだ。
グレイ「一刻も早く呪いを解きたい気持ちは私も同じだ。
だが、仕事は安全確実がモットーだからね」
期待を裏切られて、みるみるうちに不機嫌そうになる二人の青年を、どこか懐かしそうな目で見つめながら、グレイ・フォックスはもうしばらくの辛抱を求めた。
何しろ目の前の若者達は、実行役を買って出てくれている貴重な人材だ。

駒の安否など気にも留めない邪神とは違い、正気の時のグレイ・フォックスは、他人を思い遣るからこそ慎重になる。
グレイ・フォックスは一行を必死で宥めると、必須アイテムの説明を始めた。

過去から未来までもを網羅するという伝説のカルト本を手にする為の必須アイテムとしては、あまり相応しくない・・・いやむしろ相応しいのか?なんとも気の抜けるアイテム名が、古臭いマスクの開いた部分から、真剣に語られる。

いや、『バネ足ジャックのブーツ』というくらいだから、むしろ足がバネで出来ているジャックさん所有の、普通のブーツなのかもしれない。
グレイ「いいや、バネ足ジャックというのは、ブーツを持っていた男の通り名なんだよ」
だからバネを付ければいいってもんじゃない、とグレイ・フォックスが苦笑交じりに説明を付け足すと、シィナが何かを納得して頷いた。
シィナ「通り名ね・・・つまり、君達の同業者が使っていたブーツってことか
=3」
グレイ「その通り。バネ足ジャックはその昔、帝都を中心に活躍していた有名な盗賊でね。
彼の仕事を抜かりないものにしていたものが、彼が愛用していたブーツなんだ。
私はそれが我々の計画の大きな助けになると考えている
」
名称はともあれ、現在のシロディールにおける盗人ナンバー1の地位を誇る彼が「有名な」と言うくらいだから、きっと使えるアイテムなのだろう。
カイル「んで?そのバネ足は、どこにあるんだ?」
グレイ「彼は既にこの世にいないが、ブーツは彼と共に埋葬されているらしい」
サクッと雑魚をやっつけて、本丸に乗り込みたいカイルのやる気は、グレイ・フォックスの答えを聞いた瞬間、一気に萎んだ。

埋葬という言葉にあからさまな嫌悪の表情を浮かべたカイルは、「脳筋」「内藤」などと呼ばれてはいても、心持は清きナイトである。
たとえ生前の職業が盗賊だったとはいえ、ターゲットが埋葬品となると、手を付けるのは彼の正義に反するようだ。
すると、そんな内藤先生の心情を察してか・・・

やる気満々のヒヨさんが、任せて欲しいと言い出した。
しかし、カイルはホッとするどころか、更に眉間の皺を増やして抗議する。

お墓と言えばアンデッド・・・特に腹がパンパンになるまで錬金薬を飲んで治療しても、次から次へと呪文封じや状態異常をぶつけてくるゴーストは、ヒヨさんの天敵だ。
それに、彼女が寝ている間に一方的にした約束とはいえ、自らの力で果たしたいという気持ちもある。

未熟なか弱いヒヨコ女性を守るというのもナイトの重要な役割だ。
カイルは何とか己の正義と折り合いをつけると、グレイ・フォックスに向き直った。
カイル「で?そのバネ足とやらの墓はどこにある?
」
グレイ「そこまではまだ掴めていないんだが・・・ジャックの子孫は帝都に住んでいる
そうだから、会って場所を聞き出せばすぐに分かるだろう」
カイル「盗賊の子孫・・・ね
=3」
カタギになってりゃいいけどな・・・と皮肉っぽく呟いて、カイルは二つ目の必要な道具について、説明を促した。

二つ目のアイテムは、一つ目と比べると拍子抜けするくらい、まともな名称だった。
しかし、今度はシィナの表情が険しくなる。

武器や防具に何らかの銘が付く場合、通常はエンチャント品のことを指す。
例えば、呪文封じのエンチャントが施されている矢は「沈黙の矢」と呼ばれるような感じで、魔法が付与されているアイテムには、使用効果に見合った名が付けられるのだ。
魔術師ギルド長(代理)を務めるシィナは、その辺りの知識に明るいわけだけれど、「解放」に対応するスペルは存在しない。
そうなると、古代アイレイド時代か、それ以前に作られた遺物系・・・それも最近発掘された可能性が高いのだけれど、ブラヴィルからそのような報告は一切入っていない。
シィナ「あそこの宮廷魔術師枠には、確かウチのギルド員が就いているはずだと
思ったけど・・・」
遺物マニアのブルマ領主に仕えている宮廷魔術師などは、こちらが辟易するくらい頻繁に助言を求めてくるのだけれど、ブラヴィル領主に召し上げられたギルド員は、季節ごとの挨拶の文すら寄越さない。
お陰で顔も名前も思い出せない有様のシィナなのだが、ギルドに籍がある限り、魔法に関する発見をした場合の報告は義務である。
新たな遺物を手に入れたのに、音沙汰がないとなると問題だ。
グレイ「とりあえず、どちらのアイテムから盗み出してくるか決めてくれ。
もっともブーツの方はまだ情報が不完全だから、私としては出来れば解放の矢を
先に取りに行ってもらって、その間にブーツの情報を補完しておこうと思うんだ
が・・・」
確実に仕事をやり遂げる為にも、所在に関して確かな情報がある解放の矢の奪取を先行することをグレイ・フォックスが勧めると、とりあえず名前だけでもこの場で思い出せないものかと唸っていたシィナが、不意に顔を上げた。
そして・・・

魔術師ギルド長様は、今までにない提案をしてきた。
シィナ「カイルは彼女と一緒にブーツを取って来て。
ブラヴィルの宮廷魔術師の方は、僕が行く」
唐突に別行動をしようと言われ、ヒヨさんとカイルは目を丸めた。
しかし、それ以上に驚いているのは、グレイ・フォックスだ。

だからこそ、この2件についてはギルドの部下達を使わずに、実行できる腕のある者が現れるのを待っていたのだ。
グレイ・フォックスは考え直すことを心からシィナにお勧めすると、同じノクターナル製の遺物を持つヒヨさんをちらりと見遣った。
その視線を半眼で追いながら、シィナはグレイ・フォックスの注意を自分に引き戻すように語気を鋭くして答える。

なにしろ相手はディードラの君主、この世界で言う邪神にあたる。
その邪神が愛用していた、いわく付きのマスクに縛られているグレイ・フォックスは、シィナの口からもたらされる「呪い」という言葉にハッと我に返った様子で、こくこくと頷いた。

いつもは自分の方が心配する役割なのに、逆にヒヨさんとカイルに案じられてしまい、シィナは思わず苦笑した。
シィナ「地方領の宮廷魔術師の口は、ウチのギルド員の就職先の一つだからね。
僕が行った方が話が早いよ
」
そう言われてしまうと、カイルはそれ以上は口を挟むことが出来なくて、渋々ながらも頷いた。
水面下のこととはいえ、現在の魔術師ギルド長の務めを任されているのは、他ならぬシィナであり、地方領主が抱える宮廷魔術師と比べればその立場は上なのだ。
シィナの立場を知らないヒヨさんの方は「それなら私が・・・」と言いかけたが、「アークメイジの手を煩わせるほどのことじゃないよ
」と爽やかな笑顔で言われてしまうと、了承せざるを得なくなる。
かくして・・・

一行は、二つの難儀な仕事を同時に遂行するという、初の試みをすることになった。
つづきます