恐怖のワイン:6th SHOT
こんばんわ、れらです(’▽’)ノ
さて、本日のOblivion。

ヒヨさん一行は、ワイン樽の奥に隠された通路を大急ぎで進んでいた。
この城の城主、ハッシルダー伯爵が巧妙に隠した秘密がこの奥にある。
そして、その秘密の最深部に、グレイ・フォックスから特別な仕事を命じられた盗賊ギルド員が引きずり込まれているのだ。
歩を進める度にきつくなってくる腐敗臭に顔を顰めながら、ヒヨさんはギルド員の無事を切に願った。
そして・・・

ヒヨさんは唐突に足を止めた。
彼女の目の前にあったのは・・・

洞窟の壁に穿たれた簡素な牢獄だった。
中に入った者を長く生かしておく気はないのだろう━━━鉄格子の向こうは、椅子も寝台も無く、そこで朽ちた屍の異臭だけが漂っていた。
ルゥ「白骨化してるってことは、ゴメスんとこのギルド員じゃないだろうねっ」
人骨の風化具合を確認しつつ、ルゥさんは息をついた。
父母もここに閉じ込められ、食糧にされたのだと思うと、嫌悪感で胸がいっぱいになる。
しかし、今は感傷に浸っている時じゃない。
助けられる命が先決だ。

ゴメスさんの言う通り、牢の先・・・通路の更に奥へと血痕が続いている。
ルゥさんがしっかりと頷くのを確認して、ヒヨさんは急いで血痕を辿った。
そして、緩やかな下り坂をしばらく無言で進んでいた時・・・

通路の奥から何者かが現れ、いきなり短剣で斬りかかってきた。
ギルド員を助けることで頭がいっぱいだったヒヨさんは、避けるのが一瞬遅れ、鋭い痛みにに奥歯を噛んだ。
手の甲が斬り付けられ、そこから一筋の鮮血が滴り落ちる。
すると・・・

襲撃者は一瞬動きを止め、赤く濁った目を零れんばかりに見開いて、ヒヨさんの手から溢れる血の流れを追った。

不自然なまでに青い顔色に、灰色の皺がいくつも刻まれているのを見て、ヒヨさんは戦慄した。
刹那、

血の臭いに興奮して、再び飛び掛ってくる吸血鬼の前に、ルゥさんとゴメスさんが立ちはだかった。
そして・・・

決着はアッサリと着いた。
吸血鬼と言っても純血とは違い、所詮は彼らに噛まれただけの奴隷だ。
狂ったように血を欲し、好戦的で若干体力がある以外は、元であった人間と大差ない。
ヒヨさんが受けた傷は、持ち前の悪運故か幸いに浅く、ルゥさんがハンカチで丁寧に血を拭き取ってから、癒しの魔法で傷を塞いでくれた。

何せこの城の労働条件は最悪だ。
そう思うと、ちょっぴり同情心が湧いてくるヒヨさんだったが、その考えも次の言葉を聞いて吹き飛んだ。
ルゥ「雇われたって言うより、自分の食事を作らせる為に、伯爵が勝手に増やした
お仲間ってところかな
」
ゴメス「勝手に増やすって・・・相手の意思はどうなる
?!」
元は自分と同じ系統に属するエルフ族だったであろう吸血鬼を見下ろして、ゴメスさんは眉を顰めた。
こんな薄暗い地下室で、毎日毎日生き血を搾り取る作業に、自ら志願する者なんているわけがない。
彼女もまた伯爵の被害者に違いなかった。

そう言って吸血鬼から灰を採取すると、ルゥさんは更に奥へと歩を進めた。
そこには・・・

血生臭いキッチンと・・・

全身の血を抜き取られ、既に冷たくなっているギルド員を見つけた。
ゴメスさんは唇を噛み締めながら、同胞の目を閉じさせてやると、深く祈りを捧げてから、彼の所持品を確認した。
が・・・

最悪、本だけでもいいから持ち帰って来い
!といつになく必死に頼み込まれた肝心のブツは、どこを探しても見つからなかった。

元々はこの城にあった本だ。捕まった以上は取り上げられた可能性が高い。
これは面倒なことになってきたぞ・・・と一行が困惑していると・・・

突然、何者かが声をかけてきた。
一瞬、鍵番の衛兵が踏み込んできたのかも?と警戒するヒヨさんだけれど、それにしては怒気が感じられない。
というより、その声にはどことなく聞き覚えがあった。
辺りの様子を注意深く伺いながら、声のする方に近付いてみると・・・

それは、レィヤウィーンの伯爵夫人から解読の指輪を盗って来るよう、頼まれた時のこと。
ひょんなことから、脱獄に手を貸すことになった無所属の盗賊トカゲであった。

トカゲの話によれば、レィヤウィーンから遠く離れたスキングラッドまで逃げてきたはいいものの、今度は魚を盗んだ罪で逮捕されたのだという。
恐喝から卒業したのは社会的には良い兆候だけれど、魚一匹満足に盗めない盗賊というのも如何なものだろう。
嫌な予感を感じているのか、ルゥさんとゴメスさんが渋い顔でトカゲを見つめていると、トカゲは離れた目をキラキラさせて、まるで神様でも目の前にしているかのように、ヒヨさんを見つめ・・・

・・・おかしなことを言い出した。

というか、シーフギルドに入る?魚一匹満足に盗めないのに???
ヒヨ家一優しいゴメスさんが、心から嫌そうな顔になり、ルゥさんは足手まといだと切り捨て、ヒヨさんはいきなり真の友呼ばわりされて、ただただキョトンとするばかりだ。
しかし、ヒヨコに負けず劣らずの悪運に恵まれているのか、トカゲは本日も唯一無二の切り札を持っていた。

なんと、先に伯爵のワインにされてしまったギルド員と、牢の中で打ち解けたらしく、本の隠し場所を教えてもらったのだという。

誰かに似てるな・・・と妙なデジャヴを覚えつつ、トカゲは慌てて頷いた。
かくして・・・

ドジっ子トカゲを逃がすという条件付で、一行は城から脱出を図ることになった。
つづきます
★==おまけ==★

こんな台詞の直後に・・・

これは無いと思うのですよ
