謎の遺物とスラムの危機:7th SHOT
こんばんわ、れらです(’▽’)ノ
さて、本日のOblivion。

ヒヨさんが去った後の執事喫茶(出張版)は、帝国兵の酒盛り場になっていた。
食料を手に入れたスラムの住人達は、今頃満腹でぬくぬくと夢の中だろうけれど、帝国兵はそうはいかない。
春先とはいえ、湖畔にある上、深夜ともなれば未だ肌寒いスラムにおいて、酒を振舞われればイチコロだ。
勿論、そんな体たらくをレックスが許すはずはないのだけれど・・・

肝心の隊長は、一人残った魔術師ギルド員(?)に捕まり、身動きが取れなくなっていた。
しかも何が楽しいんだか、怪談話のオンパレードだ。それも、遺跡上等のギルド員の話なのだから、生々しくて気味が悪いことこの上ない。
もちろん、そのような輩なぞ、一喝して振り払ってしまえばいいのだけれど・・・

どこで耳にしたのやら、以前スパイとして使っていたダークエルフとの関係を握られて、レックスは何度と無く顔色を変える破目に陥っている。
帝都警備隊の隊長ともあろう者が、部下に敵だと指導しているスラム在住の・・・しかも既婚者を愛人にしていたなんて知れては、築き上げてきた威厳が木っ端微塵だ。

また、ルゥさんときたらすっかり暇を持て余しているせいか、レックスを完全にロックオンしているのだから手に負えない。
これでは今晩眠れるかどうか・・・もとい、獲物のグレイ・フォックスが現れても、迅速に動けるかどうか・・・レックスが不安に駆られ始めた時である。

不意に背後から野太い声をかけられて、レックスは助かった!とばかりに目を輝かせた。
誰だかは知らないが、この男から逃れるきっかけをくれるなら大歓迎だ。
しかし、レックスの喜びは、ほんの束の間であった。

振り返った先に立っていたのは、一人のオークだった。
どこの誰だか見覚えもなければ、言ってる意味も分からない。
レックス「貴様は誰だ?ここは現在、外出禁止令が布かれている封鎖地区だぞ?!」
レックスはいつもの調子で、格の違いを見せ付けるように、胸に刻まれた竜の紋章を誇示しながら、見知らぬオークをビシッと怒鳴りつけた。
こういう礼儀を知らない市民に対しては、最初の威圧感が物を言う。
しかし・・・

オークは怯むどころか、武器を手に取り、荒々しく怒鳴り返してきたではないか。
その上・・・

オークは、一枚の羊皮紙をレックスに突きつけてきた。
唖然としながら羊皮紙を受け取ると、上部には大きく『被害届』と殴り書きされている。
内容に目を通してみると、どうやら戦士ギルドの全ギルドホールから、大量の酒樽が盗まれたらしい。
レックスは一瞬眉宇を顰めたが、ふんっと鼻を鳴らして羊皮紙を突き返した。
レックス「私は帝都警備隊の隊長だ!チェイディンハルは管轄外だ!
」
解決して欲しかったら、チェイディンハルの衛兵にでも頭を下げろ!とレックスは、なすび隊長の依頼を一蹴した。
が・・・

余計な横槍が入ったせいで、オークは完全にいきり立ってしまった。

噛み付かんばかりの勢いで詰め寄ってくるオークだけれど、酒を飲めなきゃ出来ない仕事とはどんな仕事だ?
レックスがオロオロと狼狽していると・・・

先刻までブランデーをあおって上機嫌だった部下が、血相を変えてやってきた。
渡された書類を見てみれば、確かにどれも正式な被害届だ。
しかもブルマの伯爵夫人からの届けに至っては「とっとと取り返してこないと呪ってやる
」とのおまけ付き。
しかも、それだけじゃない。

どの城にもご丁寧に、グレイ・フォックスによるお宝頂戴の礼状が残されていたというのだから驚きだ。
レックスは怒りに震えて、被害届けを握り潰した。
レックス「これは罠だ・・・全ての場所に、同時に盗みに入れるわけがない!
」
大方、スラムから帝国兵を追い出す為の罠に違いない。
ならば、是が非でも出て行ったりするものか!
そう決意した時である。

再び部下に呼び止められ、レックスは激昂しながら振り返った。
すると・・・

寒空の下で酒を飲んだのが効いたのだろう、部下達はもじもじと縋るようにレックスを見上げる。
レックス「そんなもの、その辺の家で借りればいい!
」
いちいち下らないことを報告するな!と憤慨するレックスだったが、部下達は互いに顔を見合わせて、困ったようにレックスを仰いだ。

スラムの住人はお腹いっぱいで夢の中だ。それに、ただでさえ嫌っている帝国兵を入れてくれるわけがない。
だったら、その辺で・・・と一瞬、言いかけたレックスだったが、それは教育上およろしくない。
レックス「仕方ない。隣の地区に行って来い
」
用を足したら駆け足で戻って来るよう、部下にキツ~く言いつけて、手元に集まった4件の被害届に目を落とすと、レックスは深い溜息を零した。
レックス「グレイ・フォックスの奴・・・一体どこに潜伏している?
」
あの憎き盗賊が動いたということは、それだけ彼を追い詰めていると、言えるのではないだろうか?そう思って、部下に意見を聞こうと顔を上げる。
すると・・・

ついさっきまであれだけ騒がしかったスラムは、しんと静まり返っていた。
トイレに行った部下達は仕方が無いとしても、魔術師ギルドのアホな青年も、酒場のオネエ様もいない。
まるで、先刻までの騒ぎは幻だったかのような静寂に、レックスは無意識のうちにゴクリと唾を飲んだ。その音がまた、やけに大きく耳に響く。

不意に、先刻のアホ青年の話が蘇り、レックスは慌てて頭を振った。
ネクロマンサーだかディードラだか知らないが、ここは安全な帝都(のちょっぴり外)である。
ダンジョンなんて帝都警備隊には無縁の場所なのだから、魔物なんて自分には関係ない。
そう言い聞かせて、部下の帰りを今か今かと待っていると・・・

低い衝撃音と共に、何も無い空間に金色の光が現れた。
かと思うと・・・

光は輪をなし、地面に吸い込まれ、そこから一体のドレモラ・・・目下、シロディールを滅亡させるために、クヴァッチで頑張っていらっしゃるあちらの世界の住人が現れて、大凡人とは思えない不気味な声で、謎のメッセージを告げた。
まるで地獄の底から響いてくる、亡者のような不気味な声に、レックスは全身が凍りつくほどの悪寒を覚え、ただただその場に立ち尽くす。
そして・・・

帝国エリート兵と言えども、街の地回り程度の経験しかない彼にとって、初めて見るディードラは、よほどのインパクトだったのだろう。
未知との遭遇のショックに耐え切れず、レックスは失神した。

そう言ってポラス師は、魔術師ギルドからの被害届をレックスの懐に忍ばせた。
そして、一行がスラムを去るのと入れ替わるようにしてトイレから戻った部下達は、倒れた隊長を目の前に驚愕し、大慌てで彼を担ぎ上げると、新たに寄せられた被害届ごとレックスを連れてスラムを去っていった。
こうしてスラムに訪れた長い一日は、ようやく幕を下ろそうとしていた。
つづきます