ドS夫人と晩餐会:2nd SHOT
こんばんわ、れらです(’ワ’)ノ
さて、本日のOblivion。

魔術師ギルド本部から出てきたヒヨさんは、疲れた様子で頬を摩っていた。
久しぶりの授業で、またとんちんかんなことでもやらかして、ミリ先生辺りに引っ叩かれた。というわけではなく・・・

ボシェル女史の特訓を受けた為である。
なにせ魔術師ギルド代表のアークメイジとして、伯爵夫人主催の公式な晩餐会に招待されたのだ。しかも、資金不足のギルドのパトロンになってもらおうという目論みつきで。
小市民もいいところなヒヨコを、シロディールにおける社交界デビューさせなければならないのだから、ボシェル女史の特訓も生半可ではない。

ショボイながらも西洋文化を持つシロディールだから、テーブルマナーはいいとして、問題は立ち居振る舞いと話術である。
ボシェル女史の特訓の殆どは、その一点に注がれて・・・

ヒヨさんは師匠の教え通りに、歯の浮くような台詞の数々を、完璧な笑顔と優雅な所作で言うことを何度と無く強要され、顔の筋肉を強ばらせて出てきたというわけだ。

他にも服のセンスを褒めたり、化粧を褒めたり・・・そんなこととはとんと無縁の生活を送っているシィナは、軽い眩暈を覚えながら家主に同情した。
シロディールの貴族には何かと曲者が多い。褒め倒すだけで財布の紐を緩めるとは思えないけれど、女心なら伯爵夫人と同年代のアラフォー仲間であるボシェル女史の方が分かっているのかもしれない、と納得しておくことにする。
どうせ抗議をしたところで、角を生やされるのがオチなわけだし。

未だぐにぐにと頬を揉みほぐしながら頷く家主に、もうしばらくの我慢だからと言い聞かせて、ギルドの敷地を出ようとした時である。

どこからともなく漆黒の影が現れて、ヒヨさんとシィナの前に跪いた。
一瞬、忍者でも出たのか?
と目を瞠る二人の前に現れた人物は・・・

神出鬼没な盗賊ギルドの連絡係であった。
レザー装備では何かと不都合が多いことを痛感したせいか、装いも新たに生まれ変わった彼女に対し、ヒヨさんはキャッキャと大はしゃぎだけれど・・・

魔術師ギルド長様は、キノコのフルコースでも見るような目を向ける。
しかし、それも仕方の無いこと・・・

シィナ「彼女の立場は知っているだろう?
近くレィヤウィーンの晩餐会に招かれているんだよ
=3」
その為、今はボシェル女史がこれ以上ないというほど張り切っている特訓の真っ最中だ。
当日までみっちり組まれているスケジュールに、盗賊ギルドを手伝っている余裕など微塵も無い、とシィナが告げると・・・

連絡係は目を輝かせて両手を合わせた。
連絡係「実は、ウチのギルド員が指輪を盗まれてね。あんた達に取り戻して欲しいんだよ
」
シィナ「盗賊ギルド員が窃盗の被害?
」
身内のごたごたなら自分たちで解決しろと言わんばかりに、シィナの瞳が訝しげに細まる。

泥棒なんてシロディールには五万といるけれど、盗賊ギルドは義賊である故、ならず者とは一線を引いている。
いくらでも自分の懐を暖められるところを我慢して、貧者に還元しているのだから、彼らの生活は質素なものだ。
そんな身内が被害を受けたとなると、速やかに処理したいところだろう。

ついさっき、レィヤウィーンの晩餐会の話をしたら、調度いいと返された。
盗まれた指輪を取り返すなら真っ当な仕事といえるけれど、その一節が気にかかる。
先日、盗賊ギルドのお家騒動に家主をいいように使われたばかりなだけに、シィナは思い切り疑いの眼差しを向けた。
すると・・・

どうせ晩餐会に出るのなら、ついでに牢獄に寄って、そいつから指輪を取り返してくればいい。難儀な仕事が続いたから、今回はボーナスステージのようなものだ
と連絡係は微笑んだ。
まぁ、確かに、囚人に会って指輪を受け取るだけなら不法行為ではないのだけれど・・・

一般庶民は一生招かれることがない貴族様との晩餐の席で、囚人に面会したいなんて言い出そうものなら、ボシェル女史がディードラと化すのは火を見るよりも明らかだ。
盗人と知人だなんて伯爵夫人に思われた日には、資金援助の話どころじゃない。
連絡係「そんなこと言われても、その小娘が指名されちゃってるんだから仕方ないじゃない
」
そう言って連絡係はヒヨさんへと視線を移し・・・

何やら物騒なことを言い出した。
シィナ「犯人が死ぬって・・・病気か何かなわけ?」
これには、思わず家主と一緒に息を呑むシィナだったが、連絡係からもたらされた答えは、彼の想像を遥かに超える血生臭いものだった。

貴族の趣味といえば、その殆どが浪費だ。
服や宝飾品、そして古代の遺物に至るまで、彼らは集めた税を惜しみなく使う。
レィヤウィーンの伯爵夫人と言えば、晩餐会好きで有名だから、美食を嗜むものだと思っていたのだけれど・・・

囚人に対する拷問は、噂でならどこでもやっていると聞くけれど、たかだか指輪一つの窃盗で行われるようなものじゃない。
それに領主自らが殺すまで責めるなんて、いくら不正が横行しているシロディールとはいえ、パレスが放置しておくとは思えない。
しかし、連絡係は世間知らずの魔術師はこれだから・・・
=3 と呆れたようにシィナを見つめた。

人とは懸け離れた容姿を持つ移民に対する帝国人の態度は冷たい。
それに、アルゴニアンといえば領地紛争などもあって、皇帝とは何かと揉めていた種族だから、伯爵夫人の趣味も帝国から見れば虫を殺す程度にしか思われていないのかもしれない。
シィナ「だからって・・・
」
俄かには信じ難いと訝しがるシィナだったが・・・

ヒヨさんは緊張した面持ちで、盗賊ギルドの仕事を請け負った。

晩餐会での面会がまずいのであれば、その前に普通に面会に行けばいいとヒヨさんは胸を張る。
シィナ「今からって?!
」
ボシェル女史の特訓は、明日も早朝から予定されているのに?
当然抗議するシィナだったが、ヒヨさんは頑として譲らなかった。
何故なら・・・

以前、その部屋を見たことがあるからだ。
あの時は偶然迷い込んでしまっただけで、何の確証もなかったのだけれど、ディードラの神様は「レィヤウィーンの伯爵夫人は暗く陰湿な魂の持ち主」と言っていた。
そして、潜入や情報収集能力の高い盗賊ギルドがそうだと言うなら、もう間違いないだろう。あの時見たのは拷問部屋なのだ。
そして、連絡係が言う指輪泥棒がトカゲだとすると、近いうちにあの部屋に連行されることになるのだろう。
指輪を盗んだことは悪いことだけれど、拷問は明らかにやり過ぎだ。

こうしてヒヨさんは、疲れた体に鞭を打ちつつ、遠く南に位置する街へと出発した。
つづきます
★==おまけ==★

やっぱりステキ鎧を着ると、出来る人物に見えますね(’ワ’)
特にエルフ系は細身の鎧が似合っていいなぁ